企業情報漏洩に関する調査

「さくら化研株式会社」は、石油製品である合成繊維等の研究開発を主とする企業です。退職した元同社顧問から研究開発情報が漏洩した可能性があるとして調査を依頼してきました。

１　依頼の概要

さくら化研株式会社を平成２７年３月末に退職した同社顧問中津清之が、退社前に多量の研究開発データーを無断で電磁的記録媒体に複製していたことが判明しました。

同データーには同社の将来を左右する重要な情報が含まれており、これは同社の管理規定で「機密書類」に指定されていました。今後同人が持ち出したデーターを同業他社に漏洩する可能性は極めて高く、また、現実に元顧問に情報漏洩の噂があることを信頼する同業者から知らされたことより、元顧問中津清之の再就職先又は接触人物を確認してもらいたいと依頼してきたものでありました。

尚、元顧問中津清之は大学卒業と同時にさくら化研株式会社に入社し、その後一貫して研究開発部門に携わっていました。６０歳の定年時は開発部の副部長であり、同社の研究開発部門を長期に担当し業務全般に対し高度な技能と知識を有することから、定年後も顧問として席を置き開発部全般の指導育成に当たっていた人物です。しかし、調査対象者は一身上の都合を唐突に申し出て、平成２７年３月３１日付けで顧問契約を解約しています。

２　依頼者

３　調査対象者

４　調査期間及び実施日

依頼者の要望などを聴取し調整した結果、事前調査を含めて下記の４日間としました。

５　調査方法の検討

依頼者からの聴取内容と依頼事項を基に検討した結果、当面の調査として、
・調査対象者の居住地付近での張込みを実施し日常行動の確認
・調査対象者の外出先の確認及び接触人物の確認と調査
を実施することにしました。

６　調査対象者の居住地付近の事前調査

（１）調査対象者の居宅状況の確認

調査対象者の居住先は、地下鉄南北線志茂駅地上出口Ａ２から直線で東方に約５５０メートルの地点にあり、付近一帯は碁盤の目状に区画整理された住宅地域で２階建の家屋が建ち並んでいる。

調査対象者が居住する住宅は南側と西側が住宅地域内の道路に面した角地に位置し、ブロック塀で囲まれている。南側道路に面して門があり鉄柵の門扉が設置され、右側門柱に「中津」と記載された表札が掲示されている。門を入った奥に住宅の玄関があるが、その間の右側に露天の駐車場があり青色の乗用車（ナンバー００－００）が駐車されている。
調査時住宅の２階ベランダにバスタオルやシャツなどが干してあり生活している状況が窺えた。

（２）付近における聞込み状況

７　調査対象者の行動確認（第１回目）

（１）平成２６年５月７日（水）

（２）平成２６年５月８日（木）

（３）平成２６年５月９日（金）

８　依頼者との協議

前記のとおり調査対象者に対する行動確認を実施していましたが、依頼者の目的である「調査対象者（元顧問中津清之）の再就職先又は接触人物を確認」を達成するには至りませんでした。依頼者と再度協議の結果依頼者は第２回目の行動確認を、

５月１２日（月）から５月１４日（水）迄の３日間

再実施することを望んだため、当社はこれを受理しました。

９　調査対象者の行動確認（第２回目）

（１）平成２６年５月１２日（月）

（２）平成２７年５月１３日（火）

（３）平成２７年５月１４日（水）

ア　調査対象者の行動確認

イ　男性の行動調査

相川宅の不動産登記状況を登記情報提供サービス（一般財団法人民事法務部協会 登記情報センター室）を利用し調査したところ、土地と家屋の両登記簿の所有者欄に、

所有者　相川惣一
東京都国立市南１－６－８

と記載されているのを確認した。

１０　大洋石油化学株式会社に対する調査

（１）法人登記関係の調査結果

（２）太陽石油化学株式会社に対する聞込み結果

１１　東日本化工株式会社に対する調査

（１）法人登記関係の調査

インターネットの検索

東日本化工株式会社のホームページ及び関連情報等について、インタ－ネットで検索したところ、東日本化工株式会社のホームページの「特徴と将来性」と記された欄に、「統括マネージャー相川惣一の記名入りコメント」が掲載されているのを確認した。

１２　結果

以上の調査から、調査対象者の勤務先及び接触人物が次のとおり判明しました。

（１）勤務先について

（２）接触人物について

各現場の説明付写真５５枚を本件報告書に添付の上、依頼者に提出し終了となりました。
以上